離婚事件
- 夫に不倫をされ,夫と不倫相手双方に慰謝料を請求する場合,一般的な相場はいくらくらいなのでしょうか?
- 一昔前の相場は,離婚しない場合は300万円, 離婚する場合は500万円くらいでした。
しかし,最近では,不貞行為を原因とする慰謝料についての裁判所の判断が低額化傾向にありますので,100万円~300万円くらいが相場だと思います。 - 夫から,「離婚に応じないなら離婚調停を申し立てる。離婚調停中に他の女性と肉体関係を持っても,不貞行為にはあたらない。」と言われたのですが,本当なのでしょうか?
- 別居してから数年が経過しているとか,離婚に合意し条件面について話合い中であるとかならともかく,同居し,かつ,離婚に合意していないのにもかかわらず他の異性と肉体関係を持つことは,不貞行為にあたると判断される場合が多いと思います。
もし,ご主人がそのような行為をしたら,離婚を拒否した上で,慰謝料請求をするという方法が考えられます。 - 夫と別居し,離婚調停中です。
夫は,娘との面会を要求しているのですが,娘は,暴言を繰り返していた夫とは「絶対に会いたくない。」と言っております。
今の段階でこの面会要請を拒否すると,法に触れるとか,調停離婚に不利になることはあるのでしょうか? - 「親との面会は,子の福祉のためにさせるべき。」というのが裁判所の考え方ですから,裁判所からは面会をさせるよう説得されると思います。
しかし,面会交流に際しては,親の意思だけでなく子の意思も当然に尊重されてしかるべきですから,娘の意思を尊重し,当面は面会を認めないという対応をされていても構わないと思います。
相続事件
- 相続の承認又は放棄をすべき期間(以下「熟慮期間」という。)である「自己のために相続の開始があったことを知った時」(民法第915条第1項)とはどのような状況なのでしょうか?
- 「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」(民法第915条第1項)とは,相続人が,①相続開始の原因である事実を知り,かつ,②そのために自己が相続人となったことを覚知した時です。
なお,相続人が複数いる場合の「熟慮期間」は,相続人がそれぞれ自己のために相続開始があったことを知った時から,各別に進行します。
- 親族間において,相続財産の配分等に争いがない場合には,戸籍等を用意する必要はないのでしょうか?
- 相続財産が「現金」だけの場合には,戸籍等を用意する必要はありません。
しかし,「不動産」であれば登記の際に,「預金」であれば解約手続の際に,相続人全員が同意していることを確認する必要があるため,①戸籍謄本,② 遺産分割協議書,③相続人各自の印鑑証明等が必要になります。
- 「生活保護を受ける権利」は相続の対象になるのでしょうか?
- 「生活保護を受ける権利」は被相続人の一身専属的権利であるため,相続の対象にはなりません。
労働事件
- 不当解雇された場合,会社に対して慰謝料を請求することはできるのでしょうか?
- 不当解雇であっても,「不法行為」(民法第709条)に該当しない場合もあり得るので,当然に慰謝料請求できるとは限りません。
- 「セクハラ」や「パワハラ」は密室の中で行われる場合が多いと思いますが,それらの存在を立証する方法はあるのでしょうか?
- 「セクハラ」や「パワハラ」の立証方法としては,被害者ご自身の証言が一番有力な証拠となる場合が多いですが,証言をしてくれる第三者の方がいれば,さらに望ましいと思います。
- 無断欠勤や無断退職は損害賠償請求の対象になるのでしょうか?
- 労働契約は,労働者が労務を提供し,使用者が賃金を支払う契約ですので,労働者の無断欠勤や無断退職によって使用者に損害が発生した場合には,損害賠償請求の対象になる場合があります。
なお,労働者の無断欠勤や無断退職によって使用者に通常生じる損害は,労務提供を受ける利益ですので,損害賠償額の金銭的評価額は賃金相当額となる場合が多いと思います。
借金問題
- 数年前,当時付き合っていた彼が,私の生活費等を支払ってくれてました。
私は,援助してもらったつもりでいたので,借用書等も存在しないのですが,今頃になって,しつこく返済を迫われた上,詐欺呼ばわりされています。
どうしたらよいのでしょうか? - 相手方が,あなたの生活費等を援助することになった理由が重要です。
相手方が好意で援助したのであれば,詐欺呼ばわりされるいわれはありません。
仮に貸金となった場合には,自己破産等を検討されてもよいと思います。 - 事故情報開示を依頼したところ,数年前の延滞情報が記載されていました。
お金を借りたか否かも定かではなく,催促されたこともなかったので忘れていました。
完済又は援用をしたほうがよいのでしょうか? - 援用はしておいたほうがよいと思います。
援用の仕方が分からない場合には,書面作成のみを弁護士に依頼することも可能です。
弁護士費用の支払が難しい場合には,法テラスや民事法律扶助制度を利用することも考えられます。 - 当時付き合っていた彼のために,金融会社から私名義で借金をして,彼に50万円を貸しました。
当時,彼は「返す意思はある。」と言っていたのですが,1年経過したにもかかわらず一銭も返してくれず,最近では,私からの連絡を無視するようになりました。
借用書等は作成していないのですが,彼からお金を返してもらうことはできるでしょうか? - 彼があなたに対して「お金を返す意思がある。」と言ったメール等の客観的証拠があれば,貸金返還請求訴訟を提起することができます。
交通事故
- 自転車で走行中に車に接触し,怪我をしてしまいました。
自転車のブレーキが車の側面に接触し,10センチくらい擦っただけなのですが、相手方の弁護士から,フロントガラスやバンパー,ホイルカバー等自転車の接触箇所とは因果関係のない箇所の修理見積もりを提示され,困っております。
現在,調停中なのですが,今後,どのように対処したらよいのでしょうか? - 損傷箇所の主張立証責任は相手方にありますので,相手方に,車の損傷箇所の写真を提出してもらい,自転車の高さ等と符号するかどうかを検証し,「実際に生じた損傷箇所だけの修理費用を支払う。」と反論すればよいと思います。
調停の中で,車と自転車を突き合わせて検証する機会をもってもよいと思います。
相手方に弁護士がついているのであれば,協力してくれるのではないでしょうか? - バイクで通勤途中にめまいを感じて転倒し,足を骨折していました。
会社からは,「持病があるから労災は使えない。健康保険で対応するように。」と言われました。
このような場合,どうしたらよいのでしょうか? - 通勤途中の事故であれば,労災が使える可能性があると思います。
どのような持病をお持ちなのか分からないので断定はできませんが,労働基準監督署に相談されることをお勧めいたします。
お一人で対処するのが難しいようでしたら,弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか? - 数年前,車のボンネットが凹んでいることに気づきましたが,いつどこでぶつけたのか,全く記憶がありません。
自分でも気づかないうちに交通事故の加害者になっていた場合,被害者の方から損害賠償請求されたり,刑罰を受けたりする可能性はあるのでしょうか? - 被害者の方から,交通事故を原因とする「不法行為に基づく損害賠償」(民法第709条)を請求される可能性があります。ちなみに,「不法行為に基づく損害賠償請求権」の消滅時効は,被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年(民法第709条第1号)または5年(民法第724条の2)です。
また,自動車の運転上必要な注意を怠って人を死傷させた場合には,「自動車運転過失傷害罪」(自動車運転死傷行為処罰法第5条)により処罰される可能性もあります。
刑事事件
- 痴漢被害にあって,現在,加害者側の弁護士と示談交渉中なのですが,示談金を受け取った場合には,被害届を取り下げなければならないのでしょうか?
- 弁護人は,示談契約を締結するのと引き換えに,被害者の宥恕(許し),及び被害届の取下げをお願いするのが通例ですが,被害者の宥恕や被害届の取下げを期待できない場合もあります。
示談をして被害回復をはかることと,宥恕や被害届の取下げはあくまで別問題ですので,示談のみを受け入れることもできます。
示談をして被害回復をするだけでも被疑者にとって十分有利な事情になりますので,被害届を取り下げなかったとしても,示談契約の締結を拒まれることはないと思います。 - 逮捕・勾留されずに在宅のまま捜査が進んでいる場合には,不起訴や罰金刑になることが多いのでしょうか?
在宅起訴であっても,実刑判決が下されるもあるのでしょうか? - どちらかと言うと不起訴や罰金刑になることが多いですが,罰金刑がない犯罪もありますので,起訴される場合も一定数あります。
実刑になるからといって必ずしも逮捕・勾留の必要性があるとは限らないので,在宅起訴であっても,実刑判決が下される場合もあります。 - 会社のお金(300万円)を横領をしたことが発覚してしまい,返済を求められています。
会社からは,「警察に被害届を出す。」と言われているのですが,この先どうしたらよいのでしょうか? - 被害者である会社と示談交渉を行い,被害届を提出される前に,示談契約を締結することをお勧めします。