2015-10-11
『くらべて納得!弁護士にしかできないこと』
千葉県浦安市(新浦安/舞浜地区)「東京湾岸法律事務所」代表弁護士の西島克也です。
本日は,『くらべて納得!弁護士にしかできないこと』のご案内です。
■弁護士と,司法書士や行政書士との違いは何なのでしょうか。
市民のみなさまにとっては分かりにくいところかもしれません。
■まず,弁護士は,法律事務全般について取り扱うことができます(弁護士法3条)。
弁護士は,法律に関する事柄について最も広い範囲で職務を扱うことができ,いわばオールマイティな法律資格といえます。
ですから,弁護士は,
①交通事故に関しては,加害者側(被害者側も)との示談交渉・裁判手続の代理ができますし,
②相続に関しては,他の相続人等との遺産分割交渉・裁判手続の代理ができますし,
③離婚に関しては,相手方配偶者との離婚条件交渉・裁判手続の代理ができます。
また,④債権を満足させるために,各種の強制執行の代理をすることができます。
これに対し,司法書士や行政書士といった隣接士業は,弁護士のできる職務のうち,一部を取り扱うことができるにすぎません。この一部分を超えて,弁護士しかできない職務を,弁護士以外の隣接士業が継続的に行った場合,それは犯罪になり得ます。
■司法書士の職務は,登記や供託に関する手続の代理が典型的なものでした。
上にあげた①から④までの職務については,司法書士は,どこまでを行うことができるのでしょうか。
司法書士のうち一定の司法書士(「認定司法書士」といいます。)は,請求額が140万円までの,簡易裁判所における裁判や裁判外の代理業務を行うことができます。
したがって,認定司法書士は,交通事故に関して,請求額が140万円を超えない限り,加害者側との示談交渉・裁判手続の代理(前記①)を行うことができます。
ただ,簡易裁判所の判断に不服がある場合は,その後の手続(控訴)は,弁護士以外が代理を行うことはできません。
また,認定司法書士は,同じく請求額が140万円までの少額訴訟の債権の強制執行をすることができます(前記④)。
しかし,司法書士は,簡易裁判所における訴訟手続の対象となる事件に関する相談しか受けられません。交渉を要する遺産分割など,相続に関する事件は,簡易裁判所ではなく,家庭裁判所における手続の対象とされています。
したがって,通常の司法書士はもちろんのこと,認定司法書士であっても,これらの相続事件に関し,他の相続人等との遺産分割交渉・裁判手続の代理(前記②)を行うことはできません。
さらに,離婚については,たとえ養育費や財産分与といった離婚条件であっても,それは家庭裁判所における手続の対象となりますから,簡易裁判所における手続しか代理できない司法書士が交渉や裁判の代理(前記③)をすることはできません。
■行政書士も,弁護士が行うことができる業務のうち,一部を行うことができます。
しかし,行政書士は,司法書士とは異なり,交渉を必要とするような(換言すれば,当事者間に争いが起こる可能性がある)事件についての代理権は認められていませんし,強制執行手続の代理権も認められていません。
特別な場合を除いて,行政書士ができる職務は,当事者間に全く争いがない事件において,文書の作成を代理し,また作成した文書を提出することの代理に限られます。
したがって,行政書士は,前記①から④のすべての業務を行うことができません。
■以上のように,弁護士,司法書士,行政書士では,それぞれ職務を行うことができる範囲が異なります。みなさまにおかれましては,このようなことをふまえて,弁護士を活用していただけると良いのではないかと思います。
千葉県浦安市(新浦安/舞浜地区)の 「東京湾岸法律事務所」
代表弁護士 西島克也
投稿者:Nishijima