2013-10-21
『商業登記について』
千葉県浦安市(新浦安・舞浜地区)の「東京湾岸法律事務所」 弁護士秘書 永井です。
前回の不動産登記に続き,今回は商業登記について少し書かせていただきたいと思います。
商業登記とは,いわば会社の戸籍です。
取引相手がどのような会社か分からなければ,安心して取引をすることができませんし,不測の損害を被る危険もあります。
このような事態を防ぎ,取引の安全・迅速・円滑化を図るために商業登記制度はつくられ,誰でも見ることができるものとなっています。
会社には様々な形態があるため,商業登記もそれに合わせて登記事項が変わります。
今回はその中でも最も数が多い「株式会社」の商業登記について登記事項を簡単に見てみます。
①会社を特定する商号(会社名) ②会社の事業内容 ③本店及び支店の所在地
④その会社の現状 ⑤資本金の額 ⑥株式について ⑦取締役について etc.
このような内容について細かく規定され,それぞれの情報が登記されています。
では,このような内容を登記することで,どのような効力が生じるのでしょうか。
1,公示力
a) 積極的公示力・・・登記された事柄を知らなかったという相手方に対しても,その事実の存在を主張できます。
b) 消極的公示力・・・a)とは逆に,社内で決定した事柄であっても,登記していなければその事実を相手方に主張できません。
2,公信力
登記は事実に基づいて行われなければなりません。
しかし,故意(わざと)や過失(不注意)で事実と異なった登記が行われていた場合には,事実と登記が異なっていることを相手方に主張できません。
これは,登記を信じた相手方を保護するための効力ですが,不動産登記にはこのような効力はありません。
3,形成力
商業登記制度は,一般にその会社の実態を公示するものであり,商号変更等は株主総会の決議のみで効力が発生します。
しかし,設立登記や新設合併登記等は,登記してはじめて効力が発生します。
商業登記には,対抗力・免責的効力・補完的効力などもあり,こういった効力を生じさせることで,登記申請を促進させる狙いがあります。
今年は秋になっても台風が多く,今後も心配が続きます。
被害を受けられた皆様の一日も早いご回復をお祈り申し上げます。
千葉県浦安市(新浦安・舞浜地区)の「東京湾岸法律事務所」
弁護士秘書 永井美穂
投稿者:nagai